柔道整復師はもういらない?必要性を柔道整復師が解説する

なにかとわるい印象がつきまとう柔道整復師。

世間では

もういらないでしょ 笑

なんて、いわれることも。

もはや存在意義すらあやぶまれています。

実際にGoogleでは「柔道整復師 いらない」というキーワードにより、月間100~1000と結構な数が検索されているという現実。

Googleの検索結果
柔道整復師 いらない
ケニー

世間の声は厳しいですね…

ということで「本当に柔道整復師はいらないのか?」をリタイア?した柔道整復師の目線でまとめてみました。

✔記事の内容

前半・・・柔道整復師はいらないという世間の声
後半・・・柔道整復師の必要性


個人的な意見(結論)としては、不正請求にかかわっていなければ、柔道整復師の存在は必要かと考えています。

✔筆者(ケニー)の経歴

  • 柔整3年、鍼灸3年の合計6年間は勉学に励む(成績は優秀な部類)
  • 整形外科勤務時代は骨折の整復や固定を経験
  • 診察室に入りドクターとともに業務にあたる
  • レントゲンの読影や臨床所見、鑑別基準をドクターから直接教わる
  • 開業までの臨床経験は約8年
  • 廃業後は機能訓練指導員として勤務するがなじめず1年で退職
現在の活動(タップして開く)

現在は縁あって、

  • 治療院ホームページ制作
  • ライティング業務
  • 画像編集
  • 動画編集
  • 学術発表用の資料作成のサポート(循環器内科のドクターより依頼)

などの活動をしています。

また、プロのWEBライターとしての活動経験あります(2022年7月までランサーズ内で最高ランクの認定ランサー)

くわしくはコチラ⇓

目次

「柔道整復師はいらない」という世間の声

ネットの意見や、実際に現場にいた時の印象では、以下の4つにまとめられます。

  1. 不正請求ばかりの柔道整復師
  2. 整形外科との競合
  3. 仕事内容が理学療法士とかぶる
  4. 人数&施術所がおおすぎる

正直な意見としては、わるい一面を切り取りすぎな気もしますが 笑

ちなみに「柔道整復師 頭悪い」というキーワードでも検索されているくらいなので、印象はあまりよくないようですね。

くわしくは、以下のの記事を参考にしてください。

①不正請求ばかりの柔道整復師

不正請求については、最近こんな書き込みもみかけたので、Twitterで一部引用させていただきました。

どうしても柔道整復師=不正請求の図式が成り立っている印象です。

ケニー

もはや一部の国民にとっては目の敵。

柔道整復師というだけで、そのうち後ろからグサッと刺されることも事件も起きそうな勢いです。

②整形外科との競合

たしか業務範囲はかぶりますよね。

イメージとしては、以下のようになります。

また、整骨院では原因のはっきりしない痛みや慢性痛、慎重な鑑別、診断が必要なヘルニア、リウマチ、骨粗しょう症などは整形外科に任せるべきでしょう。

③仕事内容が理学療法士とかぶる

病院、クリニックではたしかに仕事内容がかぶります。

あつかいとしても、理学療法士などにより算定できる運動器リハビリテーションⅡが1,700円にたいして、柔道整復師などにより算定できる運動器リハビリテーションⅢ(みなしPT)では850円。

運動器リハビリテーションⅡ

医師の指示のもと

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士

によるリハビリにて算定可能

1単位170点=1,700円

運動器リハビリテーションⅢ

医師の指示のもと

  • 看護師
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師

によるリハビリにて算定可能

1単位85点=850点

かなしいかな、柔道整復師は理学療法士の半分というあつかいです。

ケニー

ひよっこ理学療法士ということですね…

④人数&施術所がおおすぎる

この点については、柔道整復師の人数がおおいのではなく、整骨院の数がおおいことが問題かと思います。

実際に柔道整復師の人数は、理学療法士の約半分ほどなんですよね。

参考:厚生労働省ホームページ

なので「柔道整復師がいらない」という理由としては微妙なところです。

柔道整復師が必要な理由3つ

  1. 人手不足の介護業界
  2. 医療費の問題
  3. 整形外科から見放された人の受け入れ

①人手不足の介護業界

人手不足が深刻な介護業界。
厚生労働省の調査によると、2025年には約38万人の介護職員が不足 と予測されています。

くわえて機能訓練指導員の数もまだまだすくないため、柔道整復師にとっては活躍の場となります。

介護施設に勤めるメリット

  • 時間的拘束は短め(整骨院や病院orクリニックにくらべて)
  • 勤務先は選べる立場(2021年時点)
  • 収入が安定している

…など

勤務先にもよりますが、以上のようなメリットがあります。

くわしい内容については、【給料明細も公開】柔道整復師が機能訓練指導員としての1年間を振り返るをご確認ください。
1年間、実際に機能訓練指導員としての経験をまとめています。

②医療費の問題:通院回数が同じなら?

こんなことを書くと

医療費を圧迫しているのは、不正請求している柔道整復師だろ!

という声も聞こえてきそうですね 笑

そこで以下のツイート。

なんでもかんでも整形外科に行けば、初診料の費用はトータルで1万円ほど(腰痛の場合)
うち7割の「7千円」は健康保険から支給されます。

✔実際に腰痛でレントゲンと湿布の処方を受けた時の領収証

初診料、レントゲン、湿布の点数が記載されたレシート

ここにリハビリや消炎鎮痛処置がくわわれば、自己負担とあわせて1万円ほどになります。


ちなみに腰痛は整骨院なら、初回はトータルで2千円ほど(健康保険を利用時※1部位で請求)
健康保険からは支給される金額は、せいぜい2千円前後。

全柔協HPより引用

通院回数が1回~2回なら、医療費を抑えられるのがどちらなのかは、火を見るよりも明らかですね。

ケニー

もちろん「不正請求をしていない」というのが前提ですが。

余談:腰痛の画像診断は意味がない?

非特異的腰痛については、以下のような意見もあります。

重篤な基礎疾患のない非特異的な腰痛の患者に画像検査を行っても臨床的な転帰は改善しないことをメタ解析で明らかにし、ついつい変性、ヘルニア、すべりなどの画像所見があたかも腰痛と関連が強い印象を患者に与えてしまいがちな医療スタイルに警鐘を鳴らしている論文がLancetという権威のある医学ジャーナルに掲載されました(図4)。

引用元:独立法人 労働者健康福祉機構

③整形外科から見放された人の受け入れ:保険をつかわなければOK

整骨院で保険請求できない不定愁訴や慢性痛。
じゃあ、整形外科に行けば解決するのか?といわれたら答えは「NO」です。

実際に勤務していた経験によるものですが、整形外科でもドクターによっては患者さんを見放すケースもめずらしくありません。

なので、そのような方を受け入れる立場として柔道整復師(整骨院)は必要ではないでしょうか?

ケニー

なかには藁をもすがる思いで来院する方も、一定数存在しますからね。

保険を使わないのであれば、慢性腰痛の受け入れもOKです。なんなら「無資格施術者でもOK」と国が判断していますからね。

これからは多様性の時代

今後は一般的な外傷だけでなく、保険請求できない不定愁訴、慢性痛などに対応できる柔道整復師はこれからも求められるでしょう。

さらには

  • コロナ禍による生活様式の変化
  • さまざまな病気が治る未来(※)

といったことから、健康ブーム(筋トレ、ダイエットなどの自己研鑽)はますます続くことが予想されます。

※さまざまな病気が治る未来については『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』から考える鍼灸師の未来予想図を参考にしてみてください。

ほんとに柔道整復師の免許は必要?

介護の分野については納得できるけど、健康保険を使用しないなら柔道整復師の免許はいらないのでは?

たしかに、健康ブームにのっかった筋トレやダイエットなどの指導については、免許がなくても可能です。

とはいえ、体にかかわる知識はカンタンに身につくものではありません。

健康ブームにのっかるのはいいんんですが、正常な身体の状態しか知らないのは専門家としては「?」というのが個人的な意見です。

また、筋トレやダイエットについても、ゼロから勉強するのと学校で基礎的な知識を身につけている人とでは覚えるスピードも段ちがい。

免許を持っている人なら、普通の人にくらべて2段飛ばしでサクサク知識を身につけられるはず。

今後の柔道整復師の選択肢は?

  • 開業(店舗あり)
  • フリーランス(店舗なし)
  • 整骨院、整形外科、介護施設に勤務

ただ個人的には、アルバイト+フリーランス(店舗なし)が最強かなと。

ケニー

Twitterを眺めていると、店舗を運営しながらアルバイトをしている先生の意見もちらほら……

なによりもフットワークの軽さが重要になってくると予想しています。

「個人セラピスト」の存在がつよくなる時代へ

世間の声
  • 柔道整復師=不正請求
  • 整形外科との競合
  • 仕事内容が理学療法士とかぶる
  • 人数&施術所がおおすぎる
柔道整復師の必要な理由
  • 人手不足の介護業界
  • 医療費の問題
  • 整形外科から見放された人の受け入れ

わるい一面を切り取りすぎて「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といったように、柔道整復師=悪となっていまいます。

ただ実際のところ、健康保険の不正請求にかかわっていなければ、柔道整復師の必要性はまだまだあるのではないでしょうか?

時代の変化にあわせて行動できれば、まだまだチャンスは眠っているはずです。

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